Monday 11 May 2009

五嶋みどりさんのコンサートへ行きました。

前回のブログで言っていた、
五嶋みどりさん(バイオリニスト)の
コンサートに行ってきました。


こちらでは、苗字を省いた「Midori」という
名前ででていました。海外の人が覚えやすい
ように、日本以外ではこの名前で通してるのかも
しれませんね。


実は、彼女のコンサートに行くのは初めてです。
ロンドンにはこの一年で何回か来ているよう
なのですが、たいてい平日です。


平日だと、10:30PM過ぎに終わるコンサートは
翌日仕事がある夫のサリーちゃんにはきついらしく、
週末のものしか予約できません
(私ひとりで行ってもよいのですが、必ず付いて
きたがります。極度のさみしがり屋?)


この日の曲目は、


前半
Bach Violin Sonata in E minor BWV1023
Shostakovich Violin Sonata Op. 134


後半
Shubert Violin Sonata(Sonatina) in A minor D385
Faure Violin Sonata No. 1 in A Op. 13
でした。


アンコール2曲の内、一曲は、
私の大好きなクライスラーの
syncopationを弾いてくれましたよー。
(なぜか、浪花節っぽくに聞こえましたが。
日本人の血がそうさせるのか?)


素人目から見た感想。


音楽を表現するためには、
自分の全身を余すことなく使う、
体中の全神経をバイオリンに注いでいる、
そんな演奏でした。


ほんとうに、体がグワングワンうねるのです。
もちろんバイオリニストはそれぞれの
スタイルがありますが、こんな弾き方をする
演奏家は初めてでした。


以前、テレビでシェフの三熊さん(違ってたらごめんなさい)
のドキュメンタリがあって、その中で、彼が最後の
盛り付けの仕上げをする時、皿に向けて笑顔
を送っていたのです(ちょっと怖かったけど・・・)。
うろ覚えですが、料理に笑顔を込めるのです、
というようなことをおっしゃっていました。
もちろん彼がそんなことをしているなんて食べる側は
知らないのですが、彼なりのプロとしての態度が
表れていて、感銘を受けたものでした。


表面だけを繕うのではなく


心と魂を込める


すると分かる人には分かる


的確な例えになっているか分かりませんが、
みどりさんの演奏も、それに通じた(それ以上の)
プロの真剣さと深みがありました。


あと、女性演奏家として見たとき、
媚が微塵も感じられない。
女性ならば、美しく優雅な姿で演奏したい、
と心の片隅にあっても不思議ではないと
思うのですが、


そんなことを考える私が恥ずかしくなるほど、
外見を取り繕うなんてこととは無縁です、
とばかりに、音楽と真摯に向き合って演奏しており、
ステージ上では性を超越していました。


日本にいた頃は、弟のりゅうくんの方が
健康的な演奏でいいなあ、と思ったりも
していたのですが、天才肌のみどりさんの
演奏、ロンドンにいる間に聞けてよかったと、
心から思いました。


一緒に行った夫のサリーちゃん、


普段はクラシックに一緒に行っても、
眠い、早く帰ろう、と駄々をこねる、
良くて、コンサートの間は大人しく
考え事をしている、


が関の山だったのですが。


今回は、


なんと、


隣で涙を流しておりましたよ~。


前半を聞き終わった時点で、珍しく、
「彼女の演奏はいい」
と言っており、ひたすらびっくりしたのですが、
後半で、みどりさんのエンジンがフル回転
する頃になると、ひたすら目をぬぐっており、
泣いてるのがすぐ分かっちゃいました。


「彼女は、僕と同じ天才だ」
と帰り道言ってました。
「僕と同じ」がとても余計ですが。


本当にできる人とは、まったくの素人でも、
誰にでも分かるように説明できる人だ、
というのを仕事系の本か何かで読んだことがありますが、
これ、その通り。


おそらくどんな分野でもそうなのでしょうが、
名演奏家って、人種、国境を越えて、
そして、専門家、私のような素人も
サリーちゃんのような異文化の人も、
いとも簡単に引き込んでしまうのですね。


この夜のコンサートのおかげで、サリーちゃんの
クラシックに対する見方が変わり、敬意さえ
払うようになった、というおまけ付きで
私は万々歳。


これで、家でクラシックのCDかけても
嫌がらなくなるかな?


五嶋みどりさんの記事に、絵文字は
失礼だと思ったので、今回は
ストレートに文字だけにしました。

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